ゼムクリップ、スチール缶、アルミ缶、アルミのストロー、プラスチックのストロー、銅線。
正解は、ゼムクリップとスチール缶です。鉄でできたものは磁石にくっつきます。アルミや銅は金属ですが、磁石にはつきません。
では、磁石が高速で動いている近くに置くと何が起こるでしょうか。実験してみましょう。浜松科学館には、磁石を高速で回転することができるテーブルがあります。その名も「電磁誘導テーブル」。順番に、テーブルに先ほどのアイテムを置いてみます。
まずは、ゼムクリップからです。
バラバラあばれるように動きます。
次は、スチール缶とアルミ缶。
- アルミ缶
- スチール缶
スチール缶はブルブルふるえますが、アルミ缶は、何も起きません。
磁石にくっつくものは動きますが、くっつかないものは何も起きないのでしょうか。
実験を続けてみましょう。
アルミのストローは、どうでしょうか。
転がりました。あれ、アルミは磁石にはくっつかないはずですよね。もしかすると、テーブルが坂道になっていたかもしれません。
プラスチックのストローを置いてみます。
転がりません。坂道にはなっていない様です。
アルミのストローとプラスチックのストロー、2つには違いがありそうです。何が違うでしょうか・・・
太さが違う、長さが違う、硬さが違う、色が違う。いろんな違いがありますが、ここで重要なのはどちらかが金属であるか否かです。どちらが金属でしょうか。
正解は、アルミのパイプです。
実は、磁石が動いている近くに金属を置くと、電気が流れます。電気が流れるとそのまわりには磁界(磁場)が発生します。この磁界(磁場)とテーブルの磁石が作用して、アルミのストローが転がるのです。
でも、本当に磁石が動いている近くに金属を置くと、電気が流れているのでしょうか。
銅線も金属なので、LED付きのコイルをテーブルに置いてみましょう。
LEDが点灯しました。確かに電気が流れています。
金属に磁石を近づけたり、遠ざけたりしたときに電気が流れる現象を「電磁誘導」といいます。実は、電磁誘導を応用したものがみなさんの身近にもあります。それは、駅の改札やバスなどで使う「非接触ICカード」です。JRだとSuicaやTOICAなど、浜松の遠鉄バスや電車を利用する方だとナイスパスを持っているのではないでしょうか。カードをかざすだけで使えるカード。そういえば不思議だと思いませんか。
実は、これらのカードの中にはコイルとICチップが入っています。浜松科学館で使える「みらいーらカード」も非接触ICカードです。光ゾーンの近赤外線で中身を確認してみました。
四角い形をしたものがコイルです。
そして、カードをかざす場所(リーダー/ライター)からは、磁界(磁場)を変化させて発生させた電波が出ています。そこにカードを近づけると、カード内のコイルに電気が流れ、ICチップが起動し、情報のやり取りができるというわけです。
手作りのICカードの模型で実験してみました。コイルの先にLEDがついています。
実際のリーダー/ライターにカードの模型を近づけると・・・
LEDが点灯しました。先ほどの磁石での実験と同じですね。
浜松科学館では、この電磁誘導を体験するイベント「金属が磁石になる瞬間」を開催しました。テーブルに置くと、金属が転がったり、回転したり、LEDが光ったり。磁石と電気の関係性を体験しながら感じてもらいました。
まだまだ身近には電磁誘導を利用したものがたくさんあります。ぜひ、みなさんも身近にある電磁誘導を探したり、調べたりしてみてください。また、浜松科学館にお越しの際には、「電磁誘導テーブル」をご体験くださいませ。
開催日:2021年12月5日(日)
イベント担当者:天井涼(てんちゃん)
参考サイト等:SONY FeliCaのしくみ
https://www.sony.co.jp/Products/felica/about/scheme.html