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わたしにとっての文具【画く+測る】:建築家・辻琢磨さん

浜松科学館 春の企画展「わたしにとっての文具展」。
「書く・描く」「画く+測る」「切る+貼る」「刷る」「綴じる」「彩る」の動作に分けて文具を紹介しています。合わせて、それぞれの項目で、浜松周辺で活動されているクリエイターの方々をたずね、使用されている文具や道具について伺いました。

今回は「画く+測る」…建築家・辻 琢磨氏です。

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ずらっと並べてくださったのは測るものいろいろで、一番使うのがコンベックスと呼ばれる金属製のメジャー。シャーッと引っ張るとシュッと戻るあれだ。MAGNESIUMのコンベックス は10年以上使っている愛用品。ほかに、祖父から受け継いだ3Mのもの、レーザー距離計、模型を作るときに使うスチール定規、ドイツ製の折れ曲がる定規、昔懐かしい竹尺なんていうのもある。測る作業は建築士にとって最も重要な部分、出来上がってみたら床が傾いていたなんていうことになったら大変!これで、ありとあらゆる寸法を正確に測って図面をおこすのだ。

住宅から店舗、事務所まで様々な建築物を手掛ける辻さん。「ざっくり言うと、設計して施工を依頼し竣工まで見届けるのが仕事。そのうちの8割を占めるのが施主や施工者との調整です。相手に伝えるためのツールとして使っていた手書きのスケッチが、今はiPadとApple Pencilに変わりました。使い心地は手書きペンのほうが断然気持ちがいいんですけどね」。

手軽さとスピード優先で仕事はデジタルに移行しつつあるが、祖父母から譲り受けた古い家で暮らすようになってからモノへの意識が変わった。「以前はモノに興味もこだわりもなかったんです。でも、こうしてあちこち手を入れながら住んでいると愛着が湧いてより大切にしたくなる。こういうのってイイなと思って、長く使えるモノを選ぶようになりました」。いつも持ち歩いているペンケースもそのひとつで使うほどに味わいの出る黒の本革製。中にはラミーのゲルインクボールペンとペリカンのボールペン、縮尺を測るための三角スケール。ちなみに、図面や企画書などの紙類は、クリアファイルではなく、端材を自分でカットして穴を開けたものに割りピンで止める。スタンプや手書きで、あえてひと手間加えるのもこだわりなのだ。

  • 下部のグレーのものが世界最小・最軽量MAGNESIUMのコンベックス。黄緑色は祖父から受け継いだもの。スチール定規は模型作り用。レーザー距離計やドイツ製の折りたたみ式も持っている。
  • 選び抜いたペンケースの中には、長年愛用しているLAMYのゲルインクボールペンとローマで買ったペリカンのボールペン、フリクションペン、縮尺を測るための三角スケール。
  • 図面は板に穴を開けた手作りボードに割りピンで止めるのがこだわり。データを記入する事務所帯はすべて印字するのではなくあえて手書き部分を残している。

辻 琢磨

1986年静岡県生まれ。建築家。辻琢磨建築企画事務所主宰。
403architecture [dajiba]共同主宰。名古屋造形大学特任講師。
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撮影・取材 安池真美(浜松百撰)

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