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化石は生き物のタイムカプセル

化石とは、過去に生息していた生き物やその痕跡などが、その時代に堆積した地層の中に残されたものです。太古のロマンを感じられる化石は、子供だけでなく、大人にとっても憧れの存在かもしれません。

浜松科学館で行われたイベント「化石探し体験!」では、握りこぶしほどの岩石を、たがねと金づちで割って化石を探しました。しかし、必ず見つかるわけではありません。つまり、地層に埋もれてまだ誰も見たことがない化石を自ら発見する、本物の古生物学者のような体験ができるのです。

(イベントで使用した岩石)

使用した岩石は、栃木県那須塩原市のかつて湖だった場所で、35~40万年前に堆積した地層から得られたものです。湖周辺に生えていた植物の落ち葉が、泥などと一緒に水底に堆積し、長い年月をかけて圧縮され、脱水や化学反応などを経て岩石になりました。

参加者は、慣れない手つきで金づちを振り、慎重に岩石を割っていきます。

岩石を上手に割るコツは、たがねの向きを岩石表面の縞模様に合わせること。
この縞模様こそ地層の「層」であり、堆積の順序を示すものです。一本一本の層は、その時代を記録するタイムカプセルと言えるかもしれません。

「割れた!」
「あった!化石ゲット!」
「何の木の葉っぱかな?」
化石を発見した参加者は、とても嬉しそうでした。

岩石を割った後は、見つけた落ち葉の化石の樹種を調べました。

この岩石の地層からは、200種類以上の落ち葉の化石が発掘されています。
中でも多いのがブナの葉の化石です。

上の図をご覧ください。
縁がギザギザしている葉の場合、多くの種ではミズナラのように葉脈の先が尖ります。
一方、ブナの葉は逆にへこみます。
ブナは、標高1000m程度の寒冷な気候の土地に自生します。この岩石が採取された場所の標高は500m程度ですので、化石のブナが生きていた時代は、現在よりも少しだけ涼しかったのかもしれません。こんなふうに、化石を観察することで、当時の気候を推測することができるのですね。

イベント名:化石探し体験!
開催日:2021年7月8日,9日,10日
イベント担当者:小粥隆弘(生き物博士)
参考サイト等:木の葉化石園ウェブページ
http://www.konohaisi.jp/index.html