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15分で自然観察:土壌生物の生態系ピラミッド

皆さん、こんにちは。
浜松科学館の生き物博士、小粥です。

11月14日(土)に「15分で自然観察」を開催しました。
今回のテーマは土の中で生活する「土壌動物」。
参加者の方々にディープでマニアックな世界をのぞいていただきました。

ツルグレン装置

まずは「ツルグレン装置」を用いた土壌動物の採集。
ツルグレン装置とは、手では採集できない小さな土壌動物を回収する装置です。
森の中の土や落ち葉をザルに広げ、上から白熱灯で照らします。
強い光と渇きに弱い土壌動物たちは下へ逃げますが、ザルの下はロートになっていて、最終的にエタノールの入った容器に回収されます。

土壌生物

どんな動物が獲られたか、顕微鏡で観察してみましょう。

顕微鏡

顕微鏡をのぞくと、ウジャウジャとたくさんの動物たちがワッと視界に広がります。
全く意味の分からない異様な世界。
しばらく呆然と眺めてしまいます。

さて、落ち着いてきたらどんな動物がいるか調べてみましょう。
生き物の名前を調べるには「検索表」を使います。

検索表

検索表はイエス・ノー自己判断チャートのようになっていて、「足がある or 足が無い」→「足は1つの体節に1対or 2対」→「足は全部で3対 or 4対」といった具合で細かな分類群まで落としていきます。
例えば、足があり、1つの体節に足が2対あるのは、「ヤスデの仲間」と分かります。

慣れてくると、「これはトビムシ、これはダニ、これもダニ…じゃなくて体にくびれがあるからクモ、顔も足もなくて細長いからハエの幼虫…」と、どんどん同定するスピードが上がっていきます。
全く知らなかった世界を読み解き理解していくワクワク感、これこそ学びを楽しむ瞬間です。

検索表を見る

と、面白くなってきたところで時間切れ。
最後に今日観察できた動物に印をつけていきます。

下の図は、土の中の食物連鎖を表しています。
下段の左右にキノコ(菌類)、落ち葉があり、それらを食べるダニ、トビムシ、ミミズ、コウチュウの幼虫。
さらにそれらを食べるクモ、カニムシ。
そして、最上位にイシムカデ、オオムカデ、ジムカデなど、ムカデの仲間が存在します。

食物連鎖表

普段、私たちが何気なく歩いている地面の下には、たくさんの動物たちが活動しています。
また、それらの動物には「食う、食われる」をはじめ、様々な関係性があります。
そんな多様な土壌動物の世界を垣間見た15分間でした。