皆さん、こんにちは。
サイエンスチームの志野です。
最近、インフルエンザやコロナウイルスなど微生物の話題がたくさん聞こえてきますね。
浜松科学館では先日「手洗いって本当に大事?~手から知ってく微生物~」というイベントを行いました。
微生物とはそもそもどういうものかというと、読んで字のごとく、目では見ることができないくらい小さい生き物のことです。
微生物にはたくさんの種類がいます。
その中には私たちの生活に欠かせない種類も多く含まれています。
例えば麹菌は味噌や醤油などを作るときの発酵という工程で活躍する微生物です。
皆さんもよく食べるヨーグルトの中にも乳酸菌という微生物がいます。
食べ物だけではありません。
人間の体内では微生物たちが生きていて、私たちと共存しています。
これらの微生物を「常在菌」といいます。
皮膚には約1兆個、口の中には約100億個、腸などの消化器官にはなんと約100兆個の微生物が存在しています。
常在菌は私たちに必要な栄養を作ってくれたり、免疫力を上げてくれたりと人間にとって
いいことをたくさんしてくれます。
もし体から微生物がいなくなってしまうと、私たちはすぐに体調を崩してしまいます。
このように、微生物は私たち人間にとって欠かせない存在です。
しかしその一方で、私たちにとって悪い影響を与える微生物もいます。
インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどがその仲間に分類されます。
上記で紹介した私たちにとっていい影響を与えてくれる微生物とは仲良くしたいですが、悪い影響のある微生物については遠ざけなければいけません。
ここで効果的だといわれているのが「手洗い」ですが、はたしてどのくらい有効なのでしょうか。
今回のイベントでは2つの実験を通して参加者の皆さんと確認しました。
まずは「手洗いチェッカー」を使った実験です。
これは自分の手洗いが正しくできているかどうかがわかる実験です。
手洗いチェッカーのローションを手につけて、紫外線ライトで手を照らすと青く光ります。
きれいに手を洗うと、光らなくなります。
参加者の皆さんの結果はこちら!
この結果から手洗いによって手がきれいになったことがわかります。
次に行ったのは手の微生物が手洗いによってどれだけ減るかを数値化して確認するという「ATP検査」です。
ATPは簡単に言うと生き物が活動するために必要なエネルギー源のことです。
ATP検査は、このエネルギー源がどれくらいあるかを測定して、微生物がいるかどうかもしくは増えやすい環境かどうかを判断する検査です。
参加者の皆さんには、この検査を手洗い前と手を洗った後の2回測定してもらいました。
結果、数値が減ったことが確認できました。
今回行った2つの実験で、見た目でも数値化しても、手を洗うことで手はきれいになることがわかりました。
すなわち、私たちが毎日行っている手洗いは悪い影響を与える微生物を遠ざけることに有効ということです。
微生物について知るということは、一緒にいる微生物とは仲良く暮らし、悪い影響を与える微生物とは関わらないようにするための第一歩になります。
皆さんもぜひ目には見えない小さな生き物に注目してみてください。